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ぼくたちの終わらない夏/クリストファー・ライス

2013年08月25日
2002年01月24日(木)
20020124
ぼくたちの終わらない夏(B+)/クリストファー・ライス
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1)冒頭の書き出しはなかなかいい。ジャンルはヤングアダルトだと思っていたけれど、これってミステリー?と思わせるような、ちょっとゾクゾクした感じ。と思いきや、えっ!ホモ小説?な、なんですって!?とびっくり。

男の子3人、女の子1人の幼馴染が成長していく過程で、さまざまな事件が起こる。その根底に流れているものはやっぱり同性愛というテーマなのだろうか?かといって、そのことが特にクローズアップされているわけでもない。1つの事件に対して4人それぞれの、そのときの状況が克明に描かれている。また、彼らの家族や周囲の人たちについても。場面がころころと変わり、現在と過去を行ったり来たりする小説はよくあるが、これは年代を追って順に書いてあるので、登場人物の多さに比べて混乱は少ない。


2)後半に入り、いよいよ物語も核心にふれてきた。やはりメインのテーマは同性愛というか、ホモ?赤裸々な描写もあるのだけれど、それがあまりえげつなくならないのは、割と淡々とした語り口で、事件を克明に描写することを心がけているせいだろうか?

あまり作者の感情というものは見受けられないが、登場人物ひとりひとりの苦しみや悲しみが、よく表現されている。たたみかけるように語られる物語は、次から次へとページをめくらせる力がある。

しかし、男の子たちの苦悩と共にあるのが母親たちの苦悩だ。ホモという状況を描くのも結構難しいだろうと思ったが、クリストファー・ライスはアン・ライスの息子で、クリストファーにも母親の影響は大きいのだろう。アン・ライスのデビュー作も、バンパイアものだけれど、たしか同性愛を描いていたのではなかったっけ?アン・ライスの息子であるということで、その資質を受け継いでいるとも思えるし、小説を書く環境に恵まれているとも思える。


3)本の好みは人それぞれなので、普段はめったに「おすすめの本」というのは口にしないのだけど、この本はぜひ読んでみて欲しい本だと思った。

ホモやゲイといったテーマなのだが(同性愛についてはここではノーコメントにしておくが)、とにかくよく書かれている。23歳のデビュー作とは思えない、見事なストーリー・テリングだと思う。一度も退屈な部分がなかったのは賞賛に値する。母親譲りの神秘的なイメージと、ミステリーの謎解きとを合わせ持ったこの物語は、淡々と描かれていながらも、作者自身の心の苦悩をあらわしたハイスクール時代の描写がきめ細かく生き生きとしていて、涙さえ誘う。

しかしポイントは、大人になるにつれて周囲がみな屈折していくのに、おそらく著者の分身であろうと思われる主人公だけは現実をしっかり受け止めながらも、何も変わらないことだ。それが今時のポストモダン的な小説とは大きく異なる部分。だいたいは主人公が暴力やドラッグなどに染まり、わざと行儀の悪い生き方をしているような話の多い、ポストモダン小説嫌いの私にとっては驚きでもあり、新鮮でもあり、23歳の今時の若者がこのような小説を書いたことを、非常に嬉しくも思った。

物語は4人の幼馴染みの人生だけでなく、彼らの周囲の人間の人生までも描き出しており、それぞれの年代の苦悩というものもわかる。若干23歳にして、鋭い洞察力だ。もしかしたら、著者自身がいじめられ、悩み、苦しんだ結果なのかもしれない。

余談だけれど、登場する男の子が例えどうしようもない不良でも憎めず、みな魅力的なのは、著者自身が同性愛者のせいなのだろうか?


テリーと海賊/ジュリアン・F・トンプスン

2013年08月25日
2002年01月23日(水)
20020123
テリーと海賊(B+)/ジュリアン・F・トンプスン
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1)テリー・タリーは16歳と8ケ月。大人の束縛から逃れて、いざ永遠の楽園、カリブの島を目指して家出を決行! ところが、船は嵐に遭い、海賊に捕まって南の孤島に撮れ去られる。さてさて、テリーの運命やいかに…!

ジャンルはヤングアダルト。最近ヤングアダルトものの翻訳と言えば、なぜか金原瑞人氏が起用される。たしかにフランチェスカ・リア・ブロックの『ウィーツィー・バット』はよかったが、それを「なかなかいいじゃん!」と学生に褒められてからというもの、全て同じような訳になってしまっていて、この『テリーと海賊』もその例にもれない。

そういう懸念を持って読み始めたので、ああ、やっぱり!と思った時には、がっかりを通り越して、怒りさえ覚えてしまった。少なくともプロの翻訳家なんだから、ひとつ上手くいったからって、全部それと同じように訳さないでよ!ったく!楽しい物語だと思うので、原書で読める人は原書で読んだほうがずっといいだろうと思う。

2)これって、一種の「ブリジット・ジョーンズの日記」的な面白さだと思う。毎日あれして、これして・・・という記述。そこにちょっとした冒険とちょっとエッチな話が混じって、今時の若者言葉で軽く進んでいく。割と正直に赤裸々に感情を表現していて、小説というよりもやっぱり日記に近い感じ。なので、面白い。でも、原書で読めば、もっと面白いだろう。

3)翻訳がどうのこうのと言ってはいたけれど、それをあまりある面白さだった。アメリカの人気コミック『テリーと海賊』をもとに書いた小説なので、コミック的な軽妙さがあり、場面ごとに絵が思い浮かぶよう。登場するキャラクター達もそれぞれ個性的で、それぞれ魅力的。これもまた絵が思い浮かぶようだ。こと細かな描写は、やはり日記的。

これまでの海洋冒険小説と違うのは、行った先が絶望的な無人島というわけではなく、表向きは無人島だが、そこに住んでいた海賊は文明的な生活をしていて、周りにはアメリカの一般的商品があふれているということ。

それと、主人公のテリーの性格が前向きで明るく、けして世をはかなんで・・・というような考えを持たないのと、ちゃんとした常識も持ち合わせているのが救われる。例えば、人を殺してはいけないとか、むやみにエッチしたらいけないとか・・・。家出はしたけれど、大人に反抗したわけじゃない。「翼を広げよう」というあくまでも前向きな一大決心だったりするのだ。人殺しも暴力もあたりまえのように書かれている物語が氾濫している中で、健康的で明るい、ほっとする物語だった。

アンダー・ザ・スキン/ミッシェル・フェイバー

2013年08月25日
2002年01月22日(火)
20020122
アンダー・ザ・スキン(B+)/ミッシェル・フェイバー
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1)読み始めはうげげ!と思ったこの小説、だんだんはまってきた。それというのも、主人公のイサーリーという女性は何物なのか?という好奇心がわいてきたから。動物と人間の立場が逆転したら・・・というこの話、イサーリーたちは自分たちを正常な人間と思い、我々人間を動物だと見なしているのだ。

ここで疑問なのは、「人間」という言葉はどんな生物に対して使われるものなのだろうかということ。我々人類は自分たちを「人間」だと思うが、我々が動物だと思うであろうイサーリーたちは、自分たちこそ「人間」だと思っている。ここには翻訳上の問題もあるのかもしれないが、原文ではどうなっているのだろう?

そして、動物を人間に変身させるほどの外科手術のできる高度な文明を持つ、イサーリーたちは何物?どうやら人間(ヴォドセル)を捕まえ、太らせて食料にしているらしいのだ。生々しい記述もあって、たしかにうげげ!なのだが、彼女たちが何物かを知りたいという欲求が、先へと進ませる。ジャンルとしてはSFっぽい。

2)結局、主人公は何者なのか最後までわからなかった。文章のあちこちからなんとなく想像するところでは、犬のような生物で、地球の地下からやって来ているのではないかということ。なので、地下にはない地上の自然を非常に美しいと思っている。

それにしても、例えば元の姿が犬だとして、それを二足歩行にし、顔も体も人間に近い状態に整形するというのは、考えるだけでも大変。なぜそこまでして人間の肉が食べたいのか?少なくとも主食ではないようで、明らかに贅沢品のようだ。それに、動物が人間を襲う事件もないわけではないのだから、動物の姿のままでも十分狩はできるだろう・・・なんて思ってしまうと、この話は成り立たないのか。

奇妙な小説で興味はそそられたけれど、やっぱり気持ち悪いし、最後まで正体が明かされないのは欲求不満になる。話の起承転結の起と承で終わってしまったという感じ。

絵本

2013年08月25日
2002年01月21日(月)
20020121
絵本
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The Great Goose Hunt/Selina Young
Before Goldilocks/Vivian French
Little, Trirrill and the Birds/Lucy Coats
The Twins and the Wet, Wet, Wet/Alan Gibbons
The Topsy-Turvies/Francesca Simon
Wolfman/Michael Rosen
Quacky Duck/Paul and Emma Rogers

分別と多感/ジェーン・オースティン

2013年08月25日
2001年12月31日(月)
20011231
分別と多感/ジェーン・オースティン
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途中何度も中断したが、興味を失うことなく面白く読めた。何と言っても、最後のどんでん返しにはびっくり!多少の期待と予想はあったものの、まさか!本当に!という感じ。そのどんでん返しがまた、予測のつかない顛末。それによって八方丸く収まり、皆が幸せになるのだけれど、ただただ驚き、唖然とする。

『自負と偏見』同様、さすがオースティンと思わせる詳細な人物描写だが、特にエリナとマリアンの姉妹の性格の対比は見事。物語はめでたし、めでたしで良かったが、少々都合が良すぎるのでは?という感じもなきにしもあらずというところ。

オースティンのワイドショー的面白さにはまると、他の物語がつまらなく思える。ただし、作品がみな似ているので、混乱しないためにも、少々間をおく必要はありかもしれない。

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